ドローン情報

ドローンの国家資格化で飛ばせるのはどんな機体?

2022年12月ついにドローンの国家資格制度が始まり同時にレベル4飛行が解禁されました。
このレベル4飛行とは「有人地帯上空での補助者がいらない目視外飛行」のことで、イメージとしては都心部や住宅街の中をドローンが荷物を届けてくれるドローン配送のような飛ばし方です。

飛行させるためには国家資格の一等資格を取得し、第一種の機体認証を受けた機体でのみ飛行させることができます。

2023年現在、レベル4飛行が解禁されたとはいえ街中をドローンが飛んでいる様子は見られません。というのも、現段階でのドローンは無人地帯での補助者無しの目視外飛行(レベル3飛行)の実証実験を行っている段階だからです。

先ずは山間部の高齢者にドローンがお薬や物資を運ぶなど、人口の少ない地域でドローン配送が実装されるようになってから都心部など人口の多い地域で実証実験が開始されていきます。

そこで今回はレベル4飛行に必要な機体認証についてやどんなドローンがレベル4飛行によって飛ぶようになるのか解説していきたいと思います!

機体登録・型式認証・機体認証の違いについて

今回は機体認証制度について解説していきますが、似たようなものとして機体登録制度や型式認証制度があります。どれもドローンを申請し登録するようなイメージなのでこんがらがってしまうのではないでしょうか。

機体登録とは?
機体登録制度とは100g以上のドローンを屋外で飛ばす場合に必要になる機体情報や所有者を紐づけて登録する制度となっています。2022年の6月に開始され、登録記号をドローンに記し、リモートID機能が必須となりました。

登録をしていない機体を飛行させると航空法に基づき、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されるので必ず登録しましょう。 

後に紹介する型式認証や機体認証との違いは100g以上の機体を飛ばすで場合登録が義務付けられているという点です。国家資格やドローンを使った仕事に興味が無い場合でも機体登録は必要となるので覚えておきましょう。


型式認証とは?
ドローンを製造したメーカーがドローンの安全性に問題が無いか検査をしてもらい、合格すると第一種型式認証や第二種型式認証が受けられます。
型式認証は設計段階から検査され、製造過程や、製造後の状態までを検査します。そのため相当数の時間が必要とされることが予測されています。

型式認証は個人が申請するものではなく、製造メーカーや団体が行うものなので審査など直接は関わらないので難しく思わなくても大丈夫です。

また、型式認証の安全基準に合格した機体は機体認証の検査を以下のように簡略化できるようになります。
第一種型式認証:第一種機体認証に係る検査の一部を省略可能
第二種型式認証:第二種機体認証に係わる検査の全部、又は一部を省略可能

機体認証とは?
こちらも一種・二種の認証を受けるという意味では型式認証と同じですが、機体認証は機体の所有者個人が行うものとなっています。

流れとしては、型式認証が取得されているドローンを購入し、運用する際に安全であるかどうかなど検査してもらい合格したら機体認証が与えられます。

型式認証に合格した機体を購入すると、機体認証の際には一部又は全てが省略されることがあるので購入の際には型式認証を取得した機体かチェックしておきましょう。

しかし、自作機や型式認証が無いドローンを購入した場合に機体認証を受けようとすると型式認証のように設計・製造の段階から検査されるので注意しましょう。

第一種機体認証と第二種機体認証の違い

・第一種機体認証は、レベル4飛行を行う際に必要になってきます。
これまではレベル4の飛行自体が法律で規制されていたので、イメージしにくいかとは思いますが、街中で宅配ドローンが飛び回るような光景がレベル4飛行に該当します。(有人地帯においての目視外飛行)

レベル3以下の飛行方法(無人地帯においての目視外飛行)では機体認証は任意なので、型式認証や機体認証の無い機体でも飛行させられます。

・第二種機体認証は、飛行可能となる範囲がレベル3(無人地帯においての目視外飛行)なので、機体認証が無くても適切な手続きし許可を貰えば飛行させることができます。

では、第二種機体認証を受けるメリットは何でしょうか?
それは、特定の飛行方法を行う際の手続きを一部省略できる所にあります。

第二種機体認証を受けると、以下の飛行方法が許可・承認の手続き無しで操縦できるようになります。
・夜の飛行
・対人対物の距離が30m未満
・人口集中地区
・目視外飛行

これらの飛行方法は業務に限らず趣味の範囲でも頻繫に行うと思うので、沢山ドローンを飛ばす方にとってはとても楽になるでしょう。

まとめると、第一種機体認証はレベル4飛行を行うのに必須であり、第二機体認証はレベル4飛行はできないものの、一部の目視外飛行など一部の飛行方法が許可・承認の手付きなしで飛ばせるようになります。

機体認証(型式認証)取得できる機体はどんな機体?

それでは機体認証(型式認証)を取得するにはどのような機体(ドローン)が必要になってくるのでしょうか。
それについてはつい先日、国内で初となる第一種型式認証を取得したドローンがあるため実際に機体を紹介しながら必要な機能や性能について解説してきます。

第一種型式認証を取得したドローンは株式会社ACSLが開発しました。
株式会社ACSLは過去に国産ドローンとして注目された「SOTEN-蒼天」の開発も行なっており、国内では有名な会社です。

今回開発されたドローンは「PF2-CAT3」というドローンで日本郵便が実施する日本初のレベル4飛行のドローンによる配送のために開発されました。

具体的な機体のスペックについては以下のようになっています。

■機体概要
機種名  :PF2‐CAT3 (第一種型式認証、第一種機体認証取得)

外寸   :1,174mm×1,068mm×601mm (プロペラ含む)

重量   :機体:5.53㎏/バッテリー:3.27㎏/
      最大ペイロード:1.00kg
      最大離陸重量 9.80kg

最高速度 :水平:10m/s(36km/h)
      上昇:3m/s
      下降:2m/s

防塵防水性:IP54

飛行方式 :電動・自動制御

監視方式 :地上局 PC 画面上で挙動監視
      異常時警報表示、緊急着陸などの指示に対応

その他  :非常用パラシュートを搭載
      運航時は最大 1.0kg の荷物などを搭載
      風速 10m/s まで運航可能 

上記のようなスペックになっています。
第一種型式認証を踏まえて注目する点は飛行方式、監視方式、その他の非常用パラシュートを搭載している点にあると思います。

まず飛行方式については「電動・自律制御」とあります。
第一種型式認証で飛行可能となる範囲が有人地帯においての目視外飛行となるので当然目視で追えない範囲までドローンは飛びます。操作を行うのは運用初期段階では人が行うと思いますが、目指すべき目標は自動航行による運用になると思われますので、カメラやセンサーを駆使した自立制御が重要になってきます。

また、自立制御は通信が途絶えた時にも自動航行によって非常処置が行えるので重量になってきます。

次に監視方式では「地上局 PC 画面上で挙動監視、異常時警報表示、緊急着陸などの指示に対応」とあります。 有人地帯での目視外飛行にはとても大きなリスクが伴います。
機体の状態や周囲の状況を常に監視し、事態が発生する前に事前に処置を講じることができるので常に監視できるのも必要な機能になってきます。

最後に「非常用パラシュートを搭載」とあります。
この機能は有人地帯という人の上を飛行するため、障害物への衝突や鳥との追突など、予期せぬ墜落に備えて処置を講じなければなりません。パラシュートは落下速度を抑えることができるため、もしも真下に人が居た場合でもリスクを低減することができます。

この他にも第一種型式認証を取得するにはセキュリティー面や製造工程や部品単位での安全性が求められるます。
特にセキュリティー面に関してはハッキングなどにより操作の乗っ取りや各種センサからの情報抜き取りなどが想定されます。ドローンは墜落するだけでも高所から落ちれば武器になりえますので、レベル4飛行(第一種型式認証)において重要な機能と言えるでしょう。

第二種型式認証について

第二種型式認証については現段階で取得した機体はありませんが、飛行可能となっている範囲がレベル3飛行(無人地帯における目視外飛行)までとなっているため真下に人がいない分レベル4飛行と比べてリスクは少ないです。

なので第一種型式認証と比べて審査項目は易しいことが想定されますが、検査の際に部品や製造工程レベルでの審査が必要になるため、現在主流となっているDJIやAutelのドローンなどの海外メーカーが取得するのかは不安な要素ではあります。

しかし、ドローンの二等国家資格や第二種型式認証は現在より申請の手前を省くなどの目的で新設されたこともあるので、多くのユーザーが利用するDJIやAutelの海外製ドローンが型式認証を取得できるか今後も注目していきたいポイントです。

まとめ

今回はドローンの国家資格施行で新たに飛行可能となったレベル4飛行で飛ぶ機体がどのような性能や機能があるかについて紹介しました。

第一種型式認証・機体認証については、有人地帯においての目視外飛行となるのでやはり安全性については重要なポイントとなっています。機体のスペックだけではなく、セキュリティ面に関しても重要となっています。

第二種型式認証・機体認証については第一種型式認証より基準は易しいですが、一般の方が多く運用することを考えると多くのユーザーが利用するDJIのような量産機に対して認証が与えられるのが望ましいかと思いますが、製造工程や部品単位での審査があるので海外メーカーは難しいのではないかと思われます。

しかし国内にもドローンメーカーはいくつもあるので、第二種型式認証を取得した安価なドローンを発表し流通することを祈るばかりです。

当校では今回紹介した国家資格に対応したドローンについてや、そもそもドローンの国家資格や法律についてなど様々な知識を学ぶことができます。
また国家資格の講習も実施しており、二等国家資格を取得することができます。

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