インタビュー

【ドローン未来通信vol.4】東京土建一般労働組合 江戸川支部 池田様

東京土建 江戸川支部 池田様
ドローン未来通信では、様々な方に今後のドローンの可能性についてインタビューを行う企画です。
今回、第4回目では東京土建組合の江戸川支部の池田様にお話をお伺いしました。

東京土建江戸川支部は、ハミングバードとは3年以上のお付き合いがあり、
池田さんはじめ、江戸川支部の組合員の方も多くスクールに通って頂いております。
早くからドローンの可能性を感じて頂いており、これまでにもデモ飛行や講演会など、
様々な取り組みをご一緒に進めてまいりました。


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池田 創(いけだ はじめ)

【経歴】
平成11(1999)年3月 北海道苫小牧東高等学校卒業
平成16(2004)年3月 東海大学文学部卒業
平成18(2006)年3月 東海大学法科大学院実務法学研究科中退
              以降、都内建設現場に従事
平成22(2010)年3月 東京土建一般労働組合江戸川支部入職~現在
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ドローンは建設業事業者・労働者の「脅威」になるかも?と思っていました

ハミングバード鈴木:
1~2年前と比べてドローンの活用への印象は変わりましたか?

東京土建 池田氏:
大きく変わりましたし、現在も少しずつ変わってきています。
はじめは「ラジコンのおもちゃ」くらいのイメージで、実際に見てみるまでは、自分の生活や社会に今後どれだけの関わりがあるのか考えたこともありませんでした。

また、わたしたちにとって「建設業における労働環境やそこで働く中小事業者や労働者の地位・単価を いかに向上させるか」といったことは活動を行う主なテーマのひとつとなりますが、そういったテーマとの接点も具体的にはイメージはしにくかったですね。

正直なところ、現在の建設業事業者・労働者に対する大きな「脅威」になるかもしれないとも思いました。
 
ただ、現在は、国が示している建設業における人手不足解消のためのICT化施策「i-Construction」や、
業界の動向、ハミングバードの皆さんと行ってきた様々な取り組み、具体的な活用事例やメディア報道に触れる中で、
将来の社会インフラを支える普遍的なものになっていくのではないかという可能性を感じていますし、
ドローンが今後、建設業における「標準」となっていくのであれば、労働組合としてのスタンスもそういったものを理解し触れた上で考えていかなくてはと思っていますね。

外壁や屋根の部分を施主が確認できることは、調査や工事の請負事業者との信頼関係にもつながる

ハミングバード鈴木:
現在、建設業界の現場では、ドローンがどのように活用されていますか?

東京土建 池田氏:
建設業界では土木分野での測量・設計・検査・点検などからはじまり、建築分野でもゼネコン現場を中心に実証実験を含めた点検・検査などでの活用事例が徐々に確認されるようになってきています。
また、損害保険会社が保険調査の際にドローンを活用し、そこでの修理を行う建設業従事者の話も聞かれるようになってきました。
 
江戸川支部組合員の場合ですと、橋梁などコンクリート構造物の調査や、個人住宅の外壁・屋根調査での活用事例があり、また江戸川支部としても組合員・ハミングバードの皆さんの協力を得ながら、実際のドローンによる空撮のデモンストレーションや、江戸川区内の一部地域でドローンによる家屋調査と改修工事受注の実験・テストも行ってきました。
 
この実験・テストは結果的に約200万円の改修工事受注につながり、施主さんの反応もかなり良好だったことから、今後の建築工事におけるドローン活用の可能性を大きく感じましたね。やはり、通常では目の届きにくい外壁や屋根の部分を施主が細かく確認できるということは調査や工事の請負事業者との信頼関係にもつながるのだろうと。ここでのフィードバックはかなり大きな経験となりました。
 
また、こういった取り組みをきっかけに、ドローン操縦者と施工者のつながり・ネットワークも組合内にできはじめており、現場への応用の検討・議論も少しずつではありますが進んできています。
私どもの組合は施工能力のある建設技能者の集団でもありますので、今後、組合内でもドローンに触れる機会をさらに増やしていきたいですね。現在から将来にかけて、建設業における技能者の減少・人手不足は深刻な問題としてありますし、実際に施工できる技能者の価値は今後より高いものになっていくのではないかと思っています。そういった人たちが「ドローンに対する理解をもった技能者」となっていけば、現場での受注や従事者の地位・単価を確保・向上させていく活動のベースの一つになるかもしれないという期待もあります。

「町場(小規模の建築現場)」では、木造家屋の改修工事を中心にドローン活用が進むと考えます

ハミングバード鈴木:
今後、建設業界でドローンについてどのような取り組みの可能性がありますか?また、ドローンがより多くの現場で利用されるために、どういった事が必要となるとお考えですか?

東京土建 池田氏:
今後について、建設業界全体で言えばゼネコン現場を中心に、土木・建築の両面で活用は今以上に進むと思います。
大手ゼネコンやハウスメーカー各社が様々な活用法を検討しているようですし、従来の測量・設計・検査・点検といった分野での活用の量と質もより大きく高度化していくのだろうと思います。
最近だと、ドローンのペイロードもより大きくなってきているようですので、将来的には大規模現場での「建設資材輸送」や「揚重」といった分野でも活用がすすむかもしれませんね。
 
あとは、BtoCというか、私どもは「町場」と呼んでいますが、個人住宅のような比較的小規模の建築現場は、ゼネコンのような資本力のある事業者が採算面からなかなか入ってこられない領域なんですね。
このような「町場」でのドローン活用は、木造家屋の改修工事等を中心にゼネコン現場とはまた違った形に進んでいくのではないかとも思います。
あくまで個人的なイメージですが、私どもの組合にはこういった「町場」の建築現場で働く組合員も多いので、組合としてもそのような組合員とドローンについて知見を広げる具体的な取り組みを進めていきたいなとも考えていますね。
 
次に、ドローンがより多くの現場で利用されるため必要なことですが、ICT化に深く関連した技術である以上、建設技能者にとって、PCやタブレットといった情報端末やインターネット、ソフトウェアなどの「情報技術」に対する理解とスキルは今以上に必要なのだろうと思っています。

例えば、ドローンで物件を撮影することができても、その動画・画像データを管理したり効率的に送受信したり、また編集するスキルがなければ、活用の幅はかなり限られてくると思います。
やはり、建設技能者がドローンを扱う場合であれば「データを活用する力」を現場スキル・ドローンスキルと平行して求められるのではないかと。

ただ一方で、これは必ずしも個人としてすべてを身につける必要は無いような気もしていて、複数の社員がいる場合は、社内での分業が検討可能でしょうし、個人の場合だと、他の事業者に頼ったり、私どものような組合のしくみ・ネットワークの中で解消できる部分もあると思います。
この辺は建設業界でドローンを扱う上でのネックになると私どもの支部でも考えておりまして、ドローンに関する取り組みと合わせてPC操作を基本とした「情報技術」に関するセミナーも現在企画中です。
 

ドローンスクールで更に専門的な教育を学べるようになるといいですね

ハミングバード鈴木:
現在、多くのドローンスクールが存在していますが、今後ドローンスクールに期待されることを教えてください。

東京土建 池田氏:
建設現場で働く側からいえば、基本的なドローン操縦技術を学んだ先に、さらに専門的な教育をスクールで学べるようになるといいですね。
例えば、建設業に特化したテーマのものですけれども、「コンクリート躯体調査専門コース」とか「木造家屋調査専門コース」のようなプログラムですね。自分がドローン教育を受けた後の具体的な事業や働き方のイメージを求めている方は多いと思います。
 
また、今現在、ドローンを活用している方の話を聞くと、フィードバックの量はとても重要なのだと感じることが多いのですが、個人でそういった経験を蓄積していくことはなかなか大変なようでして・・・。
 
少し前の話ですが、ドローンの活用をすでに行っている組合員から「鍛造工場の改修工事前の調査でドローンを飛ばした時に、GPSが反応しなくなってしまった」という話を聞いたことがあります。これは鉄を工場で鍛えるうちに工場自体が部分的に磁性を持ってしまった結果のようなのですが、「安全」を考える上では非常に価値のある情報・フィードバックだと思ったんですね。
 
建設業は「安全」の質が非常に重視されますから、ドローンに関するより多くの専門的なフィードバックがスクールを通じて得ることができるのであれば、建設業従事者がスクールで学ぶ価値はより大きなものとなると思います。
 
ハミングバード鈴木:
貴重なご意見ありがとうございました!
今後、専門コースを更に充実していきますので、その際は是非アドバイスください!

本日はありがとうございました!

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